

この記事は、退職時の有給休暇の取得を会社に拒否されたあなたのための対処ガイドです。
あなたの権利を守るために、法律の観点から「本当に違法なのか」「どう動けばいいのか」をわかりやすくお伝えします。
そこで、今回は退職有給消化できないと言われたときの正しい対処法を知って、冷静に行動しましょう!
この記事で分かること!
- 退職時の有給消化はなぜ保障されるのか
- 拒否されたときにすべき3つの行動
- 相談先や交渉時の注意点
結論:退職時の有給拒否は原則「違法」です
退職時に会社が有給消化を拒否する行為は、基本的に違法です。
会社に「忙しいからダメ」と言われても、法律的には通用しません。
このように有給を拒否された場合でも、慌てず法的な視点で対応すれば解決できます。
ここからは有給拒否の根拠と、拒否された時の具体的対応をくわしく解説します。
労働基準法が定める「時季指定権」を無視できない理由
退職時でも、労働者には有給を使う「時季指定権」があります。
これは、働く人がいつ有給を取るかを、自分で決めることができる権利です。
会社側が一方的に拒否することは、労働基準法39条違反にあたります。
- 労働者は時季を指定できる
- 会社は「事業の正常な運営」に著しい支障がある場合のみ拒否可
- 退職日はあらかじめ決まっているため拒否理由にならない
- 就業規則よりも労働基準法が優先される
たとえば、あなたが「4月末で退職します。その前に5日間の有給を消化したい」と伝えたとします。
そのとき会社が「引き継ぎがあるから有給は使えない」と言ってきても、法的に正当とは言えません。
すでに退職日が決まっており、業務調整も可能である以上、「事業に著しい支障」とは判断されないのが一般的です。
このように、有給の取得時期は基本的に労働者が決められます。
退職前の有給消化も「当然の権利」だと覚えておいてください。
退職してからでは有給を使うことはできません。今が一番大事なタイミングです。
「退職前でも、ちゃんと有給は取れる」がこのパートの結論です。

会社が正当化できる例外ケースとは
ただし、会社が有給を拒否できる「ごく一部の例外」はあります。
それは「有給を取ることで、業務に重大な支障が出る」と客観的に認められる場合です。
このようなケースでは、「時季変更権」といって会社側に時期の変更を求める権利が発生します。
- 人手不足で業務停止が確実な場合
- 取引先の納期に重大な影響が出る場合
- 緊急対応が発生している場合
- 業務上どうしても代替手段がない場合
たとえば、あなたが「一人で担当している特殊なシステムの保守作業」を退職直前に放棄する場合などがこれに該当します。
このような特例を除き、有給拒否は原則として認められません。
また、「引き継ぎをしてない」「人がいない」は一般的に正当な理由にはなりません。
例外の条件は非常に厳しいことを理解しましょう。
「例外はあっても、かなり限定的」がこのパートの結論です。

有給が使えないと言われた時の初動対応
有給が使えないと言われたら、すぐに「記録」を取りましょう。
あとから証拠が残っていないと、法的対応が難しくなるからです。
対応の第一歩は、「証拠の確保」です。
- メールやチャットのスクショ
- 会話の録音
- 就業規則のコピー
- 有給申請書の控え
たとえば、上司から「そんなの認めないよ」と言われた場面では、スマホのボイスレコーダーを活用しましょう。
LINEや社内チャットで拒否の言葉があれば、スクリーンショットを撮って保管しておきます。
また、会社の就業規則に「退職時の有給消化は認めない」などの記載があっても、それは法律違反です。
ルールよりも法律が優先されることを、証拠として示す材料にもなります。
こうした記録が、交渉や相談時の重要な証拠となります。
「まずは証拠確保から始める」がこのパートの結論です。

まずやるべき3つのこと【即行動マニュアル】
退職時に有給消化を拒否されたら、すぐに行動すべきことがあります。
感情的にならず、証拠と法的根拠をもとに冷静に対処しましょう。
次に紹介する3つのステップは、誰でもすぐ実行できる内容です。
「備えあれば憂いなし」の気持ちで、すぐに取りかかりましょう。
ステップ1:証拠を確保せよ(メール・録音・就業規則)
まず最優先は、会社からの拒否発言や状況を「記録」することです。
有給消化を拒否された証拠があることで、交渉や相談が有利になります。
とくに「メール」「チャット」「音声録音」は重要です。
- 上司とのメールの文面
- 社内チャットのスクリーンショット
- 会話をスマホで録音
- 就業規則の内容を保存
たとえば、上司が「有給は取れない」と口頭で言ってきたら、スマホ録音を開始しましょう。
メールやLINEなどでやりとりがあれば、必ずスクショを撮っておいてください。
会社のルールを確認し、退職に関する就業規則も手元に残しておきましょう。
後から「言った・言わない」のトラブルにならないよう、記録が命です。
自分の言い分を証明する材料を、静かに集めておきましょう。
「証拠がすべてを守る」がこのステップのポイントです。

ステップ2:主張すべき法的根拠
次に、会社に伝えるべき「法的な根拠」を押さえておきましょう。
相手が理屈で否定してくる場合は、こちらも法律で返すのが効果的です。
とくに労働基準法第39条は重要です。
- 年次有給休暇の取得は労働者の権利
- 退職前の有給取得も当然含まれる
- 会社の就業規則より法律が優先される
- 「時季変更権」は退職時には使えない
たとえば、会社から「うちは退職時に有給は使えない決まりだから」と言われたら、落ち着いてこう伝えてみましょう。
「労働基準法第39条では、有給は労働者が自由に取れるとされています。退職日が決まっている場合、時季変更権は使えません。」
このように冷静に伝えると、相手の態度が変わることもあります。
知識がある人には強く出づらくなるものです。
あなたの正当性を伝えるために、法律を味方につけましょう。
「労働基準法39条が有給取得の武器」がこのパートの要点です。

ステップ3:相談機関と連絡先一覧
最後に、有給拒否が続いた場合の「相談先」を整理しておきましょう。
一人で抱え込まず、第三者の力を借りることが大切です。
労働者を守るための公的な相談窓口は全国にあります。
- 労働基準監督署
- 総合労働相談コーナー
- 法テラス(無料法律相談)
- 地域の労働組合
たとえば、お住まいの地域の「労働基準監督署」に連絡すれば、匿名でも相談できます。
「総合労働相談コーナー」は厚生労働省が運営しているため、安心して相談可能です。
また、弁護士による無料相談ができる「法テラス」も活用しましょう。
公的機関を使うことで、会社との交渉も冷静に進めやすくなります。
「相談先は必ずある」がこのパートの結論です。

法的手段をとる前に知っておくべきこと
いきなり法的手段に出る前に、冷静に確認すべきポイントがあります。
無用なトラブルを避けるためにも、交渉の仕方や判断の基準を知っておきましょう。
この章では、交渉・相談の進め方を具体的にお伝えします。
「感情」より「根拠」で動くことが大切です。
会社との交渉で気をつけたいNG対応
会社と有給について話し合う際、注意すべきことがあります。
こちらの正当性があっても、伝え方次第でこじれてしまう場合があるからです。
特にNGな対応は次の通りです。
- 感情的に怒る・詰め寄る
- 法的手段をすぐにちらつかせる
- 同僚に内容をばらまく
- 無断で録音・録画する
たとえば、「それ違法ですよ?訴えますよ?」と強く言いすぎると、話が一切進まなくなることがあります。
感情的な態度は、会社側に「協力する気がない」と思わせてしまう原因になります。
交渉はあくまでも冷静に、証拠と法律をもとに進めるのが基本です。
主張する内容は正しくても、態度で損をしないように気をつけましょう。
「言い方ひとつで交渉の流れが変わる」がこのパートの要点です。

弁護士に相談する基準と費用相場
もし会社と話し合っても改善しない場合、弁護士に相談するという選択肢もあります。
ただし、弁護士に依頼するにはタイミングと費用を理解しておく必要があります。
まず、どのようなときに弁護士に頼るべきかを知りましょう。
- 証拠があり、明らかに違法と判断できる
- 会社が取り合わない・脅してくる
- 解決の見込みが立たない
- 精神的に限界を感じる
たとえば、何度も有給取得を申し出ているのに拒否され続けている場合や、会社から圧力をかけられている場合などが該当します。
そのような場合は、弁護士を通じて内容証明や労働審判を行う方法もあります。
気になる費用ですが、初回相談は30分5000円前後、着手金は5万〜10万円が相場です。
ただし、労働問題に強い弁護士を選ぶことが大切です。
「弁護士は最後の手段」ではなく「味方にできる専門家」として認識しましょう。
「法律のプロに任せる選択肢もある」がこのパートの結論です。

労働基準監督署に相談する場合のポイント
弁護士以外で頼れるのが、労働基準監督署です。
国の機関であり、無料で相談できる心強い存在です。
相談する際のポイントを押さえておきましょう。
- 管轄は勤務先の所在地
- 証拠があれば伝えやすい
- 書面や記録があると進みやすい
- 匿名でも相談可能
たとえば、上司からの拒否メールや録音データがあると、監督署が動きやすくなります。
申告内容が具体的であればあるほど、指導や調査につながる可能性が高くなります。
匿名でも相談できるため、名前が会社に伝わる心配もありません。
実際に動いてもらうには、「証拠の提示」と「具体的説明」がカギになります。
「監督署は労働者の味方」がこのパートの要点です。

最悪の事態を避けるために今できる準備
有給拒否のトラブルを未然に防ぐためには、早めの準備が鍵です。
ここでは、退職届の出し方から記録の残し方まで、すぐにできる対策を紹介します。
トラブルを未然に防ぎ、気持ちよく退職日を迎えましょう。
やるべき準備は難しくありません。今日から始められます。
退職届の提出タイミングと一緒に行うべき確認事項
退職届は、ただ出せばよいというものではありません。
有給消化を円滑に進めるためには、提出のタイミングが非常に重要です。
あわせて以下の確認を同時に行っておきましょう。
- 退職希望日と有給残日数の確認
- 有給消化スケジュールを同時に提出
- 書面に残して提出(控えも取る)
- 就業規則を事前にチェック
たとえば、「3月末で退職、3月10日から有給消化したい」といった具体的な日程を明記しましょう。
この段階で有給残日数も正確に確認しておくと、会社側も調整しやすくなります。
提出する際はメールや紙のどちらでもOKですが、必ず控えを残しておいてください。
口頭でのやりとりは証拠になりにくく、あとで「言ってない」とトラブルになることもあります。
「退職届は有給消化計画とセットで」がこのパートのポイントです。

有給申請時のメール文例と記録の残し方
有給申請をする際は、書面やメールで記録に残すことが重要です。
ここでは、実際に使えるメール文例をご紹介します。
下記のように具体的かつ丁寧な文面が効果的です。
- 件名:退職に伴う有給休暇取得のご相談
- 退職日と有給希望日を明記
- 有給日数と期間を具体的に
- 書面対応のお願いを入れる
【文例】
お疲れさまです。○○課の〇〇です。
このたび、〇月〇日をもって退職の予定となっております。
つきましては、退職前に下記の日程にて有給休暇の取得を希望いたします。
有給休暇希望期間:〇月〇日~〇月〇日(〇日間)
ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
このような文面で、シンプルに意思を伝えるのがベストです。
やりとりはすべて保存し、送信履歴や返信内容も残しておきましょう。
「有給申請=記録を残す」がこのパートの要です。

まとめ|退職時に有給が使えないとき、泣き寝入りしないために
今回は、退職時に有給休暇を使わせてもらえないのは違法なのか、その対処法について紹介しました。
この記事のポイント!
- 原則として、退職時の有給取得を拒否するのは違法
- 拒否されたときは、証拠を集めて法的根拠をもとに主張を
- 相談先や交渉時の注意点を知って、冷静に対応する
「有給は使えない」と言われると不安になりますが、あなたの権利は法律で守られています。

行動することで、泣き寝入りせずに自分の権利を守ることができます。まずはできることから一歩踏み出してみてください。